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ビル用マルチエアコンとパッケージエアコンの違いとは?それぞれのメリット・デメリットについても解説

業務用エアコンには、主にビル用マルチエアコンとパッケージエアコンが挙げられます。

以前はパッケージエアコンが一般的に使用されていましたが、近年ではビル用マルチエアコンを採用するケースが多くみられます。ビル用マルチエアコンとパッケージエアコンの違いについては、室内機の運転方法や馬力、電源の取り方などが挙げられます。

本記事では、ビル用マルチエアコンとパッケージエアコンについて紹介する他、「ビル用マルチエアコンのメリット・デメリット」や「パッケージエアコンのメリット・デメリット」についても解説していきます。

ぜひこの記事を参考にして、ビル用マルチエアコンとパッケージエアコンについて理解を深めてみてください。

ビル用マルチエアコンとは?

ビル用マルチエアコンとは、オフィスや店舗などの商業施設で使用される空調設備で、「業務用マルチエアコン」や「ビルマルチ」とも呼ばれています。異なる馬力のユニットを組み合わせて使うことが可能で、それぞれのエアコンを個別に操作することが可能です。

例えば、各エアコンの温度を独立して調整したり、電源のオン・オフを別々に管理することもできます。

オフィス内の会議室や、飲食店の個室ごとに空調をコントロールすることで、異なる環境に合わせた快適な空間を作り出すことができます。

パッケージエアコンとは?

パッケージエアコンとは、オフィスや店舗などで広く使用されている業務用エアコンのことを指します。

通常1台のエアコンに対して1台の室外機がセットで設置されるのが一般的で、性能は1.5馬力から12馬力程度のものが多く、幅広いニーズに対応しています。

また、パッケージエアコンは1つのリモコンで複数の室内機を一斉に操作できることも大きな特徴といえます。

ビル用マルチエアコンとパッケージエアコンの違い

ビル用マルチエアコンとパッケージエアコンの違いについては、以下の5つが挙げられます。

  • 室内機の運転方法
  • 室内機の馬力
  • 室内機の容量
  • 冷却配管の長さ
  • 電源の取り方

それぞれの項目について解説していきます。

室内機の運転方法

ビル用マルチエアコンは、各室内機をそれぞれ独立して操作できるのが特徴で、パッケージエアコンは、基本的にすべての室内機を同時に運転しています。

ビル用マルチエアコンでは、各室内機に専用のリモコンが付属しており、それぞれ独立して設定や運転の管理が行えるのに対して、パッケージエアコンは「同時ツイン」や「同時トリプル」と呼ばれるタイプが多く、1つのリモコンで複数の室内機を一斉に制御する形になっています。

室内機の馬力

ビル用マルチエアコンはメーカーによって異なりますが、10馬力を超える機種も多くありますが、パッケージエアコンでは、最大で10馬力までの製品が一般的です。

10馬力のエアコンは、設置場所にもよりますが、約197㎡から291㎡の範囲を快適に冷暖房できます。そのため、広い空間では、環境に応じてビル用マルチエアコンの導入が必要になります。

室内機の容量

ビル用マルチエアコンでは、違う容量の室内機を組み合わせて使用することが可能です。一方で、パッケージエアコンは通常、同じ容量の室内機を使用することが基本となります。

しかし、パッケージエアコンの中には例外的に異なる容量の室内機が使用できるモデルも存在しますが、大半は同じ容量の室内機しか対応していないケースが多いです。

冷却配管の長さ

ビル用マルチエアコンは、冷媒配管の総延長が最大で1000mまで対応可能で、室内機と室外機の高低差は最大50mまで可能です。一方、パッケージエアコンは冷媒配管の総延長が最大で100m、高低差は最大で30mまで対応しています。

メーカーによって仕様は異なることがありますが、ビル用マルチエアコンは大規模なビルに対応できるよう、十分な配管長を確保して設計されています。

しかし、パッケージエアコンは主に店舗やオフィス向けに設計されているので、配管の長さには一定の制限があります。

電源の取り方

ビル用マルチエアコンとパッケージエアコンには、電源の取り方に大きな違いがあります。ビル用マルチエアコンでは、室外機と室内機の別々に電源が必要になります。

一方、パッケージエアコンは、室外機から直接電力を供給し、その電気を使って室内機も動作させることができます。

ビル用マルチエアコンのメリット

ビル用マルチエアコンのメリットについては、以下の3つが挙げられます。

  • 冷却配管の自由度が高い
  • 一つの室外機で複数のエアコンが稼働できる
  • 室外機のスペースが確保しやすい

それぞれのメリットについて解説していきます。

冷却配管の自由度が高い

ビル用マルチエアコンでは、冷媒配管の設置に柔軟性が高いメリットが挙げられます。

冷媒配管とは、空調設備の中で使われる配管の一種で、室内外の間で熱を運搬する役割を果たします。

冷却配管の設置自由度により、業務用エアコンをより効果的な場所に設置でき、結果として省エネで効率的な運転にもつながります。

一つの室外機で複数のエアコンが稼働できる

ビル用マルチエアコンは、1台の室外機で複数の部屋に適した空調調整をすることが可能です。

部屋ごとに必要な冷暖房能力が異なる場合でも、それぞれに異なる馬力のエアコンを設置できるので、細かく区切られたオフィスや会議室の多い施設などに適しています。

また、使用していない室内機の電源を切ることができるため、効率的に運用することが可能です。

さらに、室外機と室内機は別々に電源供給されており、運転中でもすべての室内機が動作するわけではないので、電気代を節約することにもつながります。

室外機のスペースが確保しやすい

マルチエアコンは、1台の室外機で複数の室内エアコンを同時に運転できるので、設置場所を確保しやすいメリットが挙げられます。

例えば、10馬力の室外機を使用すれば、異なる馬力のエアコンを複数台接続することが可能です。具体的には、1馬力〜4馬力の室内機を組み合わせて1台の室外機に接続し、効率的に運用できます。

ビル用マルチエアコンのデメリット

ビル用マルチエアコンのデメリットについては、以下の2つが挙げられます。

  • 電気工事が必要
  • 一つの室外機が壊れると全てのエアコンが使えない

それぞれのデメリットについて解説していきます。

電気工事が必要

ビル用マルチエアコンでは、室外機とエアコンの電力供給がそれぞれ独立しているので、電気工事が必要になるデメリットが挙げられます。

一般的なエアコンでは、専用のコンセントにエアコンを接続することで室外機も同時に稼働しますが、ビル用マルチエアコンの場合は異なります。

このように、ビル用マルチエアコンでは、室内機とは別に、室外機用の電源も個別に設置する必要があるので、電気工事の追加費用がかかってしまう可能性があります。

一つの室外機が壊れると全てのエアコンが使えない

ビル用マルチエアコンは、一つの室外機で建物内の複数の室内機を制御しているので、室外機が故障すると、建物内すべてのエアコンが使えなくなってしまうデメリットが挙げられます。

エアコンの室外機は、室内の熱を外に逃がしたり、逆に外の熱を室内に取り込んだりする非常に重要な役割があるので、室外機が故障するとその機能が失われ、室内機も正常に動作しなくなってしまいます。

例えば、夏場にエアコンが動かなくなると、暑さによるストレスや疲労だけでなく、熱中症の危険性も高くなってしまい、最悪の場合だと救急搬送されるリスクもあります。

そのため、室外機が壊れないように、定期的に点検やメンテナンスを行うことが大切です。

パッケージエアコンのメリット

パッケージエアコンのメリットについては、以下の3つが挙げられます。

  • 電気工事が削減できる
  • 施工費が安い
  • 複数のエアコンを同時に操作可能

それぞれのメリットについて解説していきます。

電気工事が削減できる

パッケージエアコンのメリットとして、電気工事を削減できる点です。

パッケージエアコンは、ビル用マルチエアコンとは異なり、複数の室内機へ一台の室外機から電力を供給する仕組みになっています。一方、ビル用マルチエアコンでは、室内機と室外機それぞれに独立した電力供給が必要となるため、設置時に大規模な電気工事が必要になります。

このように、パッケージエアコンは取り付けの際に電気工事の負担を大幅に抑えることができます。

施工費が安い

パッケージエアコンは、設置にかかるコストや工期を削減できるので、施工費が安いメリットが挙げられます。実際に、ビル用マルチエアコンに比べ、全体的な工事コストが低くなるケースがほとんどです。

また、電気工事に要する時間が短縮できるので、工事期間も短くなるというメリットも挙げられます。

複数のエアコンを同時に操作可能

パッケージエアコンは、一つのスイッチで複数のエアコンを同時に操作できるメリットが挙げられます。

複数台を一斉に稼働させることが可能なので、短時間で複数のエアコンを稼働することが可能です。

広いフロアや大規模な会場など、仕切りのない空間でも効率よく室温を調整することにもつながります。

パッケージエアコンのデメリット

パッケージエアコンのデメリットについては、以下の2つが挙げられます。

  • 冷却配管の自由度が低い
  • 室外機が選べない

それぞれのデメリットについて解説していきます。

冷却配管の自由度が低い

パッケージエアコンは、マルチエアコンに比べて冷媒配管の取り回しが制約されることが多いので、冷却配管の自由度が低いデメリットが挙げられます。

冷却配管の自由度が低いことによって、部屋全体で最適な空調効果を得られる場所に設置できないリスクがあるのも事実です。また、部屋のデザインや雰囲気に合わせて好きな位置に設置したいにも関わらず、決められた位置にしか設置ができないケースも少なくありません。

これから、パッケージエアコンの設置を検討している方は、あらかじめどの位置に設置できるのか確認しておきましょう。

室外機が選べない

パッケージエアコンは、基本的に室内機と室外機がセットで販売されているので、室外機と室内機を自由に組み合わせて選ぶことはできません。

また、多くの場合、室内機は同じタイプで統一しなければならないことが多く、設置場所ごとに異なるデザインの室内機を選ぶのは難しいのです。

インテリアにこだわりたい方にとっては、室外機のデザインを選ぶことができないので、あらかじめ注意が必要です。ただし一部のメーカーでは、個別に室内機を選べるモデルもあるので、事前に確認しておくことをおすすめします。

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導入する際は設置環境を確認しよう!

今回は、ビル用マルチエアコンとパッケージエアコンの違いやそれぞれのメリット・デメリットを紹介しました。

ビル用マルチエアコンシステムは、パッケージエアコンとは異なり、1台の室外機で複数の室内エアコンを同時に運転できる点が特徴です。

室外機が1台しかなくても、それぞれのエアコンの温度調整や電源のオン・オフを個別に操作することが可能です。

また、エアコンを設置する際には、部屋の面積だけでなく、設置場所のスペースや室内の熱量といった環境条件をよく確認し、最も適した機種を選ぶことが重要です。

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