冷蔵ショーケースは年月とともに性能が落ちていく設備であり、使用を重ねるにつれて不具合が現れることも少なくありません。
状況によっては、修理では対応しきれず、寿命が来てしまい、新しい機種への入れ替えを検討せざるを得ない場面もあります。
本記事では、冷凍ショーケースの寿命について紹介していきます。
他にも「冷蔵ショーケースの寿命のタイミング」や「冷蔵ショーケースの寿命を長持ちさせるポイント」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、冷凍ショーケースの寿命について理解を深めてみてください。
冷蔵ショーケースの寿命とは?

一般的に、冷蔵ショーケースの寿命はおよそ10年から15年とされています。
この期間に幅があるのは、使い方や設置場所の環境によって本体への負荷が異なることが挙げられます。
例えば、熱がこもらないように背面のスペースをしっかり確保したり、定期的な清掃を実施したりすることで、より長く使用することが可能です。
しかし、「使っていないから大丈夫」という考え方には注意が必要です。
実際に、長期間まったく稼働させていないと、内部のモーターなどが劣化しやすくなり、逆に寿命を縮めてしまうことがあります。
そのため、最低でも半年に一度は電源を入れて、しっかり稼働するか確認しておくことをおすすめします。
冷蔵ショーケースの寿命のタイミング

冷蔵ショーケースの寿命のタイミングについては、以下の4つが挙げられます。
- 設定温度まで十分に冷えない
- 異音や振動がする
- 結露が頻繁に発生する
- 修理や部品庫間の頻度が増えてきた
- 電気代が増加した
それぞれのタイミングについて解説していきます。
設定温度まで十分に冷えない
冷蔵ショーケースの寿命のタイミングとして、設定温度まで十分に冷えないことが挙げられます。
例えば、庫内の温度が以前のようにスムーズに下がらなかったり、設定温度に到達するまで時間がかかるようになった場合、それは内部のコンプレッサーや冷媒など冷却機能の中心を担う部品が劣化しているサインと言えます。
これらの部品は外から見ても異常に気づきにくく、一見正常に動いているように見えることも多いですが、実際には内部の性能が落ちており、特に夏場のように気温と湿度が高い時期には、その劣化が明確に現れやすくなります。
異音や振動がする
音や振動といった身体で感じ取れる異常も、冷蔵ショーケースの寿命が近づいているタイミングと言えます。
例えば、運転中に普段より大きな作動音がしたり、本体が不自然に揺れるような場合には、ファンモーターやコンプレッサーなどの回転部に摩耗や不具合が生じている可能性があります。
このような兆候を見逃したまま使用を続けると、部品の故障につながり、冷却が完全に止まってしまうリスクもあります。
そのようになれば、ショーケース内の商品に深刻な影響が及び、品質の維持が困難になるリスクが高くなってしまうので、早めの対応が重要です。
結露が頻繁に発生する
冷蔵ショーケースの寿命のタイミングとして、庫内に霜や結露が目立つようになった場合も挙げられます。
このような現象は、本体の断熱機能が弱まっていたり、ドアのパッキンが劣化して密閉性が落ちていたり、排水系統に不具合が起きていることが原因として考えられます。
これらは長年の使用に伴って起こりやすい典型的な症状と言えます。
また、結露が内部の商品に影響を与えれば、見た目の清潔感が損なわれるだけでなく、床が濡れて滑りやすくなったり、カビの発生源となることもあります。
このような状態を放置すると衛生面の問題にもつながるので、早めに対処することが求められます。
修理や部品庫間の頻度が増えてきた
修理の回数が増えたり、部品の交換が頻繁に必要になるようになった場合も、冷蔵ショーケースの寿命が迫っているサインと言えます。
特に、同じ部位で何度も不具合が発生したり、必要なパーツがすでに製造終了となっていて手に入りにくいといった状況は、製品が耐用年数の終わりに近づいている可能性を示しています。
こうした問題に直面した場合は、今後もメンテナンスを続けるのが合理的か、それとも新しい機種への買い替えを検討すべきかを慎重に見極めることが重要です。
このように、修理コストと新品導入費用を比較し、長期的なコストパフォーマンスを考慮して判断するようにしましょう。
電気代が増加した
電気料金が突然高くなった場合、冷蔵ショーケースの寿命のタイミングと言えます。
例えば、庫内の冷えが甘くなっていたり、冷気が外へ逃げているような状態になると、冷却機能が必要以上に稼働し、結果として消費電力が増加するケースがあります。
また、電気系統に異常がある可能性もあり、異常な電力消費が続くようであれば、専門業者に点検や修理を依頼することが重要です。
冷却性能が低下すればするほど、効率の悪化に伴ってエネルギーの無駄が大きくなり、電気代への影響も顕著になります。
このように、老朽化による性能低下は見た目では分かりにくいことも多いので、電気料金の動きがそのサインとして現れることもあります。
冷蔵ショーケースのトラブル事例

冷蔵ショーケースのトラブル事例については、以下の4つが挙げられます。
- 温度が低下しない
- 扉が損傷してしまう
- フィルターに穴が開いてしまう
- 霜取り運転が正常に稼働しない
それぞれの事例について解説していきます。
温度が低下しない
冷蔵ショーケースのトラブル事例として、温度が低下しないことが挙げられます。
食品や飲料を安全に保管する役割を担う冷蔵ショーケースにおいて、温度のコントロールは最も重要な機能と言えます。
例えば、庫内の温度が設定した数値まで下がらない、あるいはそもそも冷却がうまく働かないといったケースが挙げられます。
これらの問題が起こると、冷蔵ショーケース本来の役割を果たせなくなり、保存中の品物にも影響が及ぶ可能性があります。
扉が損傷してしまう
冷蔵ショーケースでよく見られるトラブルの一つに、扉まわりの破損があります。
例えば、「扉がきちんと閉まらない」「冷媒ガスが漏れている」などの現象が挙げられます。
扉には、しっかりと密閉するために“パッキン”と呼ばれるゴム素材の部品が取り付けられています。
このパッキンは柔軟性がある反面、劣化や破れが起こりやすく、傷んでしまうと扉がしっかり閉まらなくなり、密閉性が損なわれてしまうのです。
さらに、冷媒ガスの漏れについても注意が必要です。
扉の閉まりが悪いことに加えて、ショーケースのガラス部分にヒビや破損がある場合、それが漏れの原因になることもあります。
こうしたトラブルは冷却機能の低下にも直結するので、早めの点検と修理が重要です。
フィルターに穴が開いてしまう
空冷式の冷蔵ショーケースには、冷気を効率よく循環させるために、内部に埃を集めるフィルターが取り付けられています。
このフィルターは冷却機能を維持するうえで重要な役割を果たしていますが、実は損傷しやすい部品のひとつでもあります。
フィルターが破損すると、冷却効率が低下したり、内部の汚れが増えたりと、様々な不具合を引き起こす原因になります。
特に、フィルターに穴が空いてしまうと埃を適切に吸着できなくなり、内部機構に汚れが蓄積してさらなる性能低下を招く恐れがあります。
そのため、フィルターの状態は定期的に確認し、異常があれば早めに交換・メンテナンスをおこなうことが大切です。
霜取り運転が正常に稼働しない
冷蔵ショーケースのトラブル事例の一つとして、霜取り運転が正常に稼働しないことが挙げられます。
実際に、冷蔵ショーケースは、その性質上、庫内に霜が付きやすい環境にあります。
これに対応するため、多くの機種には自動で霜を取り除く「霜取り機能」が搭載されています。
しかし、霜取り機能がうまく作動しないケースもあり、その場合は内部の霜がどんどん蓄積され、冷却効率が著しく低下してしまいます。
効率が落ちた結果、冷却ガスの供給量を増やす必要が生じ、結果的に電力消費も増加し、運用コストの上昇につながってしまいます。
冷蔵ショーケースの寿命に影響する要因

冷蔵ショーケースの寿命に影響する要因については、以下の3つが挙げられます。
- 使用頻度
- 設置環境
- 定期的なメンテナンスの有無
それぞれの項目について解説していきます。
使用頻度
冷蔵ショーケースの寿命に影響を与える要因のひとつに「使用頻度」があります。
例えば、コンビニや飲食店のように扉の開閉が頻繁に行われる環境では、庫内の冷気が外に逃げやすくなり、その分、冷却装置に大きな負担がかかります。
このような負荷が続くと、コンプレッサーをはじめとする冷却システムの内部部品が通常よりも早く劣化し、結果的に機器の寿命を縮める原因となります。
逆に、同じモデルであっても、扉の開閉が少ない場所に設置された機体は、負荷が軽いため、比較的長く使用できる傾向があります。
このように、冷蔵ショーケースの稼働環境は耐用年数に大きく関わってきます。
設置環境
冷蔵ショーケースの寿命は、設置している環境によっても大きく左右されます。
例えば、高温多湿な厨房内に設置された機体では、外気との温度差が大きいので、冷却システムが頻繁に稼働することになります。
その結果、内部部品への負荷が増し、劣化の進行が早まる可能性があります。
また、直射日光が差し込むような場所に置かれていると、庫内の温度が上昇しやすくなり、冷却機能に余分な負荷がかかることで、電力の消費量が増加したり、パーツの摩耗が早まるなどの問題が発生しやすくなります。
設置場所の通気性が悪い場合には、排熱がうまくおこなわれず、本体内部の温度が上昇してしまうリスクもあります。
このように、冷蔵ショーケースの性能を長持ちさせるには、設置場所の環境条件にも十分な配慮が求められます。
定期的なメンテナンスの有無
冷蔵ショーケースの耐用年数を左右する重要なポイントの一つが、日頃のメンテナンスがしっかりおこなわれているかどうかです。
例えば、コンデンサーのフィルターに汚れが溜まったまま使い続けると、冷却効率が著しく落ちてしまい、本体内部が高温になることで各部品の劣化が加速してしまいます。
また、見落とされがちなドアパッキンの劣化も機能低下の原因となります。
密閉性が失われると外気が庫内に入り込み、冷却装置に過度な負荷がかかるので、庫内が冷えにくくなるのです。
このようなトラブルは、日常的なチェックや定期的な清掃、必要に応じた部品交換によって予防することが可能です。
そのため、適切なメンテナンスがおこなわれているかどうかが、機器の寿命に大きく影響すると言えます。
冷蔵ショーケースの寿命を長持ちさせるポイント

冷蔵ショーケースの寿命を長持ちさせるポイントについては、以下の4つが挙げられます。
- 定期的な清掃と点検
- フィルターの掃除
- 適切な温度設定
- 扉の開閉回数を減らす
それぞれのポイントについて解説していきます。
定期的な清掃と点検
冷蔵ショーケースを長期間安定して使用するには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
特に、重要なのは、定期的な清掃と点検の実施です。
庫内や外装を常に清潔に保つことは衛生上当然のことですが、それだけでなく、ホコリや油汚れが内部の冷却機器に付着することで、熱交換効率が下がり、コンプレッサーなどに余計な負担がかかってしまいます。
このようなリスクを防ぐためにも、定期的に専門の技術者によるメンテナンスを受けることが大切です。
フィルターの掃除
冷蔵ショーケースの寿命を長持ちさせるポイントとして、フィルターの清掃が挙げられます。
この作業は専門的な技術が不要で、利用者自身でも対応できる保守点検の中では、特に効果が高いものの一つと言えます。
冷蔵ショーケースには、冷気を循環させるためにフィルターが設置されていますが、この部分にホコリやゴミが蓄積すると、空気の流れが妨げられ、冷却性能が大きく落ちてしまいます。
結果として庫内の温度が下がりにくくなり、冷却を保とうとするコンプレッサーに過剰な負荷がかかることで、電力の無駄遣いだけでなく部品の劣化も早くなってしまいます。
こうした問題を防ぐには、フィルターを定期的に掃除することが何よりも効果的なので、日常点検の中でも注意して取り組むべきポイントと言えます。
適切な温度設定
冷蔵ショーケースの寿命に影響を与える要因として、温度設定の適正さも重要なポイントになります。
設定温度が必要以上に低い場合、冷却装置が常にフル稼働となり、コンプレッサーなどの心臓部に過剰な負担がかかってしまいます。
実際に、設定温度が低い状態が長期間続くことで、機器の耐用年数が短くなる恐れがあります。
一方、設定温度が高すぎると、保存している食品や飲料が適切な状態を保てず、品質が損なわれてしまう可能性があります。
また、季節の変化や設置場所の環境条件によっても最適な温度は変わるため、定期的な見直しが重要です。
過度な冷却を避けることで、省エネ効果が期待できるだけでなく、機器自体の劣化も抑えることができ、長持ちさせるうえで大きな効果があります。
扉の開閉回数を減らす
冷蔵ショーケースをできるだけ長く使用するためには、扉の開閉回数を減らすことも重要なポイントです。
扉を開けるたびに庫内の冷気が逃げ、外から暖かい空気が流れ込むことで庫内温度が上昇し、温度を元に戻そうと冷却システムが長時間にわたって作動し、コンプレッサーなどのパーツに余分な負荷がかかってしまいます。
こうした動作が繰り返されることで、冷却機能の心臓部である部品の摩耗が進み、故障や寿命の短縮につながるリスクが高まります。
特に、繁忙時間の多い飲食店や小売店舗では、開閉が頻繁になるため冷気の損失が大きく、無視できないレベルのエネルギーロスが生じることも少なくありません。
そのため、商品を見やすく配置して開け閉めの時間を短縮したり、動線を工夫して開閉の回数自体を抑えるといった対応が効果的です。
冷蔵ショーケースの寿命を見極めよう!

今回は、冷凍ショーケースの寿命について紹介しました。
冷蔵ショーケースの一般的な使用可能年数は、おおよそ10〜15年とされています。
また、冷蔵ショーケースの寿命は使い方次第で大きく変動します。
実際の使用可能年数には個体差がありますが、使用環境が耐用年数に強く影響するのも事実です。
適切な場所に設置し、丁寧に使用することが、機器を長持ちさせるポイントと言えます。
今回の記事を参考にして、冷蔵ショーケースの寿命を見極めましょう。
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