冷蔵庫は、食品の品質と安全を守るために冷蔵庫は重要な存在で、日常生活ではもちろん、外食産業や食品を取り扱うビジネスでも広く用いられています。
冷蔵庫と一口に言っても、使用環境や目的によって適したタイプは大きく異なり、店舗やプロの厨房で使用される業務用冷蔵庫と、一般家庭で使う家庭用冷蔵庫では、性能や構造、機能面において明確な違いがあるのも事実です。
本記事では、業務用冷蔵庫と家庭用冷蔵庫の違いについて紹介します。
他にも「業務用冷蔵庫の種類」や「業務量冷蔵庫を選ぶ際のポイント」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、業務用冷蔵庫と家庭用冷蔵庫の違いについて理解を深めてみてください。
業務用冷蔵庫と家庭用冷蔵庫の違い
業務用冷蔵庫と家庭用冷蔵庫の違いについては、以下の8つが挙げられます。
- 容量
- 内ポケットの有無
- 電源
- 耐久性
- 冷却速度
- 価格
- 使用環境
- 寿命
それぞれの項目について解説します。
容量
業務用冷蔵庫と家庭用冷蔵庫の違いの一つとして、収容できる容量の規模にあります。
家庭で一般的に使われている冷蔵庫は、おおよそ400〜500リットル程度の容量が一般的です。
一方、業務用の縦型冷蔵庫は1,000リットルから1,600リットルほどの大容量を誇ります。
また、業務用モデルは家庭用と異なり、内部構造が非常にシンプルなので、段ボールに入ったままの食材をそのまま保管するなど、柔軟な使い方が可能です。
実際に、飲食業の現場では、大量の食材を効率よく管理する必要があるため、広々としたスペースと高い収容力が欠かせないのも事実です。
このように、店舗経営においては業務用冷蔵庫の導入が適していると言えます。
内ポケットの有無
業務用冷蔵庫には、家庭用冷蔵庫のようにドア内側にある収納ポケットが標準では備えられていません。
内ポケットが付いていない理由として、扉を開け閉めするたびに庫内の温度が下がりやすく、保存中の食材に悪影響を及ぼす恐れがあるためです。
特に業務用冷蔵庫では、長時間にわたって品質を維持することが重要視されるので、このような設計が採用されています。
しかし、内ポケットを使用したい場合は、製品の発注時にオプションとして取り付けを依頼できる場合もあります。
そのため、実際の使用シーンや業務の流れを踏まえて、必要性を見極めるようにしましょう。
電源
家庭用冷蔵庫の多くは、100ボルトの電源で動作するので、通常の家庭用コンセントに差し込めばすぐに利用できます。
一方、業務用冷蔵庫については、機種によって必要な電圧が異なるので、設置前に確認が必要です。
特に200ボルト仕様の機器を導入する場合、対応するコンセントが設置されていなければ、電気工事が必要になるので、あらかじめ注意が必要です。
耐久性
業務用冷蔵庫は、基本的な冷却性能に特化した設計となっているので、内部のパーツ数が少なく、故障のリスクも抑えられ、長期間の使用に耐えられる仕様となっています。
また、業務環境では冷蔵庫の扉の開閉回数が家庭用に比べて格段に多くなるので、業務用冷蔵庫はそうしたハードな使用に耐えるよう、頑丈かつ軽量な扉構造が採用されています。
こうした設計により、業務用冷蔵庫は耐久性においても家庭用より優れた性能を発揮することができます。
冷却速度
飲食店などで頻繁にドアが開け閉めされる現場では、庫内の温度がすぐに上昇してしまうため、急速に冷却できる性能が冷蔵庫に求められます。
このような環境では、冷却力が高く常に安定したパワーを発揮できる業務用冷蔵庫が適しています。
実際に、家庭用冷蔵庫では出力が足りず、店舗での使用には十分な能力を発揮できないことが多いです。
しかし、家庭用冷蔵庫は、消費電力が少ないため電気代の節約につながり、静音性にも優れているため、音が気になる環境には適しています。
価格
家庭用冷蔵庫は、機能性や収納力によって価格に幅があり、リーズナブルなモデルであれば数万円台、高性能で大容量のタイプでも20万円程度に収まるのが一般的です。
この点において、業務用と比べて比較的手頃な価格帯と言えます。
一方、業務用冷蔵庫は過酷な使用環境を想定した設計が求められ、高い耐久性や冷却能力が備わっています。
その分、サイズも大きくなり、製品によっては定価で100万円を超えるものもあります。
さらに、万が一故障した際にはメーカーによる専門的な修理が必要になるケースが多く、それに伴う費用も高額になりやすいです。
しかし、家庭用の冷蔵庫では修理よりも新しい製品への買い替えが選ばれることが多く、その分維持費が抑えられる場合もあります。
使用環境
業務用冷蔵庫は、主に飲食店や食品工場といった現場での利用を前提に設計されています。
長時間にわたる連続運転が基本であり、特にランチやディナーの時間帯には頻繁に扉が開け閉めされるので、冷蔵庫には大きな負荷がかかる厳しい条件となります。
それに対して、家庭用冷蔵庫は一般家庭のキッチンでの使用を想定した製品であり、業務用のような連続的かつ過酷な使用環境に対応する設計にはなっていません。
寿命
家庭用と業務用の冷蔵庫には、使用可能な年数にも明確な違いがあります。
家庭用冷蔵庫の一般的な使用年数はおよそ10年程度とされており、その期間を超えると性能の低下や扉の不具合、内部部品の故障といったトラブルが増える傾向があります。
使い方や設置環境によってはもう少し長持ちすることもありますが、15年を目安に新しいものへの交換を検討することをおすすめします。
一方、業務用冷蔵庫には明確な寿命はありません。
具体的には、業務用冷蔵庫は使用環境や運用方法によって劣化のスピードや故障箇所が大きく異なり、多くの場合、故障時にはメーカーが修理対応をおこないます。
また、業務用機種はモデルチェンジが少ないため、長期間にわたって同じ機種を使い続けることが可能です。
さらに、製品によって異なりますが、家庭用に比べてサポート期間が長く設けられている特徴もあります。
業務用冷蔵庫の種類
業務用冷蔵庫の種類については、以下の3つが挙げられます。
- タテ型冷蔵庫
- テーブル型冷蔵庫
- ショーケース型冷蔵庫
それぞれの種類について解説していきます。
タテ型冷蔵庫
タテ型冷蔵庫は、上下にドアが取り付けられた縦長のデザインが特徴です。
ドアの数は主に2枚・4枚・6枚のタイプに分かれており、見た目も家庭用冷蔵庫に近いです。
各メーカーから多種多様なモデルが展開していますが、サイズに関してはおおよそ共通しており、高さは約190cm前後、奥行きは65cmから80cm以内に収まるのが標準的です。
横幅についてはドアの枚数によって幅広く異なるので、設置スペースに合わせて選定することが重要です。
また、ドアの開閉方式もドアの枚数によって異なり、2ドアの冷蔵庫は一般的に片開き、4ドアおよび6ドアのモデルは観音開きが主流となっています。
テーブル型冷蔵庫
テーブル型冷蔵庫は、コールドテーブルとも呼ばれており、左右に開閉する複数のドアが付いているのが特徴です。
一般的に1〜3ドアのタイプが多く流通しています。
人の腰ほどの高さに設計されており、天面にはステンレス製の板が施されているので、そのまま調理スペースやレンジの設置場所として活用することができます。
省スペースで作業効率を高められることから、厨房などで多く導入されています。
ショーケース型冷蔵庫
ショーケース型冷蔵・冷凍庫は、透明なガラスが前面についており、商品が一目で確認できる設計になっている点が特徴です。
例えば、店舗内に人が入れるほどの大型冷蔵ユニットや寿司屋で見かける小型のネタ用冷蔵ケースなど、用途に応じたさまざまなサイズや形状があります。
このように、ショーケース型冷蔵庫のデザインは、使う場面や目的に応じて大きく異なります。
業務量冷蔵庫を選ぶ際のポイント
業務量冷蔵庫を選ぶ際のポイントについては、以下の4つが挙げられます。
- サイズは合っているか
- 必要な機能があるか
- 清掃のしやすさ
- 省エネ性能
それぞれのポイントについて解説していきます。
サイズは合っているか
業務用冷蔵庫を選ぶ際には、サイズは合っているかどうかをしっかりとチェックすることが重要です。
実際に、設置スペースと冷蔵庫のサイズが合わないと、厨房に搬入できないといったトラブルも発生してしまう可能性もあります。
設置の際には、冷蔵庫が適切に放熱できるように、上部には最低でも5cm、左右にはそれぞれ1cm以上の空間を空ける必要があります。
特に、観音開きタイプのドアは大きく開くため、片側2〜3.5cm程度の余裕を見ておくようにしましょう。
また、搬入経路の確認も必要になり、冷蔵庫本体の幅に対して、10cm以上の余裕を持たせた通路が必要ですので、店舗の入り口から厨房までの動線を事前にチェックしておくことが必要です。
必要な機能があるか
業務用冷蔵庫を選ぶ際には、必要な機能があるかどうかを確認することも重要です。
実際に、業務用冷蔵庫は用途に応じて以下のタイプが用意されています。
- 冷蔵専用
- 冷凍専用
- 冷蔵・冷凍兼用
例えば、冷蔵機能だけを使う予定なのに、冷凍機能付きのモデルを選んでしまうと、必要以上にスペースを取るうえ、無駄な電気代がかかってしまうことがあります。
そのため、購入を検討する際には、実際に保管する食材の種類や量をあらかじめ整理しておくことが、適切な機種選びのポイントと言えます。
清掃のしやすさ
業務量冷蔵庫を選ぶ際のポイントとして、清掃のしやすさも挙げられます。
実際に、業務用冷蔵庫は、扉の開け閉めが頻繁におこなわれるので、内部やドア部分が汚れやすくなるので、定期的なお手入れが欠かせません。
例えば、内部構造が凹凸の少ないフラットなデザインであれば、汚れがたまりにくく、清掃作業もスムーズにおこなうことができます。
このように、掃除のしやすさは業務用冷蔵庫を選ぶうえで重要な要素と言えます。
省エネ性能
業務用冷蔵庫は一日中稼働し続ける必要があるので、電力消費の効率にも注目すべきポイントと言えます。
実際に、わずかな電力の違いでも、年間を通して見ると電気料金に大きな影響を与える可能性があります。
また、業務用冷蔵庫は頻繁に買い替えるものではないので、長期的な視点から見ると、省エネ性に優れたモデルを選ぶことが、最終的に運用コストの削減につながります。
業務用冷蔵の費用を抑えるコツ
業務用冷蔵の費用を抑えるコツについては、以下の2つが挙げられます。
- 補助金の活用
- 中古やリースの検討
それぞれのコツについて解説していきます。
補助金の活用
補助金の種類は多岐にわたっており、支給額は地域や自治体によって異なります。
業務用冷蔵庫を導入する場合、補助金ですべての費用をまかなうのは現実的ではなく、支給されても費用の半額程度と見込んでおくようにしましょう。
補助金を利用するには、所定の行政機関または地元自治体への申請が必要になります。
しかし、申請すれば必ず受けられるわけではなく、審査を通過する必要がありますので、事前の準備と確認が重要です。
中古やリースの検討
業務用冷蔵庫を導入する際、コストをできるだけ抑えたい場合には、新品だけにこだわらず、中古品やリース契約を選択肢に入れるようにしましょう。
実際に、状態の良い中古品の中には、ほとんど使用感のない高品質なものを手頃な価格で購入できるケースも少なくありません。
また、リースを活用すれば、冷蔵庫を一定期間借りる形になるので、大きな初期投資が不要になるメリットもあります。
特に長期間の契約であればあるほど、毎月の支払い額は低く抑えることができます。
目的に合った冷蔵庫を選ぼう!
今回は、業務用冷蔵庫と家庭用冷蔵庫の違いを紹介しました。
業務用冷蔵庫は、容量や冷却性能、耐久性に優れており、食材管理の効率を考えると導入するメリットは大きいと言えます。
一方で、使用頻度が低かったり、厨房のスペースに限りがある場合は、家庭用冷蔵庫でも問題なく活用することができます。
そのため、冷蔵庫を導入する際には、店舗の運営スタイルや厨房設備とのバランスを事前に確認しておくことが重要です。
今回の記事を参考にして、目的に合った冷蔵庫を選ぶようにしましょう。
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