ショックフリーザーは、食材や食品を素早く冷却し、菌の繁殖を抑えながら美味しさを保って凍結することが可能です。
Shock freezer mechanism
しかし、ショックフリーザーは適切に使いこなすことが難しかったり、最適なモデルを選ぶ際に迷うことが多いのも事実です。
本記事では、ショックフリーザーの仕組みを紹介します。
他にも「ショックフリーザーの使い方」や「ショックフリーザーの選び方」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、ショックフリーザーの仕組みについて理解を深めてみてください。
ショックフリーザーの仕組み

ショックフリーザーとは、食品を素早く冷却することで菌の増殖を抑制して、冷凍品質を向上させる業務用冷凍機器のことです。
仕組みは、主に-30℃から-40℃の低温風を食品に直接当てることで短時間で温度を下げるエアブラスト方式を採用しています。
実際に、エアブラスト方式が、ショックフリーザーの大半に利用されている冷却手法です。
近年では、ショックフリーザーの小型化が進み、100V電源でも動作可能なモデルが登場しています。
しかし、小型モデルは急速冷凍が可能でも、大量の食品を一度に冷却するのには向かないため、導入時には必要量を考慮した選定が重要です。
このように、ショックフリーザーは、食品の安全性や品質を守るための頼れる存在といえます。
ショックフリーザーとブラストチラーの違い

ブラストチラーは、調理済みの食品を急速に冷却する技術で、主に食品安全と品質維持を目的としています。
約90℃の高温で調理された食品を芯温3℃程度まで素早く冷却することが可能です。
特に重要なのは、細菌が最も繁殖しやすい温度帯である62℃~10℃を迅速に通過することで、食品の衛生状態を確保できるメリットが挙げられます。
さらに、食材の乾燥や酸化を抑制できるため、調理後の香りや色合い、栄養価を損なわずに保存可能です。
一方、ショックフリーザーは食品を冷却ではなく凍結するための技術です。
3℃程度の食品を短時間で-18℃以下まで冷却することができ、食品内で形成される氷の結晶が小さくなり、細胞が破壊されるのを防ぎます。
これにより、冷凍後も食品の風味や質感、食感がほぼ凍結前の状態に保たれます。
具体的に、ショックフリーザーとブラストチラーの違いについては、以下のとおりです。
ショックフリーザー | ブラストチラー | |
用途 | 常温から可能 | 調理直後の食品を高速冷却 |
食品投入温度帯 | -18℃~3℃の冷凍帯での冷凍保存が可能 | 3~90℃まで幅広い温度の冷却が可能 |
冷却可能温度帯 | 常温食品 | 90℃前後の温度帯から投入可能 |
このように、ショックフリーザーとブラストチラーは異なる特徴を持っているので、食品を保存する際には、用途に応じて冷却するか冷凍するかを選択することが重要です。
ショックフリーザーのメリット

ショックフリーザーのメリットについては、以下の5つが挙げられます。
- 食品の品質が向上する
- 食品の長期保存が可能
- 食品の歩留まりを改善できる
- フードロスを減らせる
- 添加物を使用せずに長期保存ができる
それぞれのメリットについて解説していきます。
食品の品質が向上する
瞬間冷凍技術を活用すると、食品や料理を作りたての状態のまま短時間で凍結保存できるメリットがあります。
食材の細胞を損なうことなく冷凍できるため、従来の冷凍技術と比べて保存後の品質が大幅に向上します。
例えば、揚げ物を一般的な冷凍庫で保存した場合、解凍後には衣がしんなりしてしまい、本来の食感を損ねてしまいます。
しかし、瞬間冷凍を利用すれば、揚げたての風味と食感をそのまま保持し、冷凍保存が可能になります。
解凍後も外側はカリッとしたままで、まるで揚げたてを食べているような仕上がりが可能です。
さらに、鮮魚の冷凍にも優れた効果を発揮し、鮮度の低下を最小限に抑えられます。
冷凍保存した魚は、解凍後も刺身や寿司として利用できるほどの品質を保つことが可能です。
食品の長期保存が可能
ショックフリーザーを導入することで、高品質な食品を長期間保存できるようになり、一度に大量の食品を生産しても腐敗のリスクを減らすことができます。
例えば、保存期間が1週間以上保たなかったり、冷凍すると風味や品質が劣化するなどのケースでもショックフリーザーを利用することで、食品の長期保存が可能になります。
また、生産量に制限を設ける必要がなくなり、大量生産と作り置きが効率的に行えるようになります。
さらに、スペースに限りがある店舗でも設置可能なコンパクトな瞬間冷凍機もあります。
興味があればメーカーに相談すると、営業担当者が実際に店舗を訪問し、客層や販売可能な食品量を踏まえた最適な冷凍機を提案してくれます。
このように、ショックフリーザーを利用することで、売上の向上を目指す具体的なプランを立てることにつながります。
食品の歩留まりを改善できる
ショックフリーザーを利用することで、食品の歩留まりを改善することが可能です。
食品の歩留まりとは、購入した食材や食品が実際に利用可能な量を指す言葉です。
緩慢冷凍と比較して歩留まりを向上させる効果があり、仕入れコストの削減や食品のロスを軽減することができます。
例えば、200gの魚を仕入れて冷凍した場合、緩慢冷凍では解凍時にドリップが発生し、約20gの水分が流出することがあり、使用可能な重量は180gに減少してしまうデメリットが挙げられます。
一方で、瞬間冷凍を利用すればドリップの発生がほぼ防げるため、食材の損失を大幅に抑えることが可能です。
こうした冷凍によるロスを最小限に抑えるためにも、瞬間冷凍機の導入は効果的な選択肢と言えます。
フードロスを減らせる
ショックフリーザーを活用することによって、フードロスを減らせるメリットが挙げられます。
実際に、食品の鮮度を保ちながら保存が可能なので、売れ残りが出た場合でも食品を廃棄する必要がなくなります。
特に、刺身や果物、ケーキなどといった傷みやすい生鮮食品は、通常では長期間の保存が難しく、やむを得ず廃棄されることが多いのも事実です。
そのため、ショックフリーザーを利用することで、食品を無駄にせず保存が可能となり、必要なときに解凍して再び利用できるというメリットがあります。
添加物を使用せずに長期保存ができる
急速冷凍機を使うことで、安定剤や防腐剤といった添加物を使用せずに食品を長期間保存できるメリットが挙げられます。
また、瞬間的に凍結することで、食品の風味や見た目を損なわずにそのまま保てるので、必要なタイミングで解凍して手軽に利用することが可能です。
近年では、食の安全性や健康を重視する人が増えていることから、健康志向に応える商品を開発することにもつながります。
ショックフリーザーのデメリット

ショックフリーザーのデメリットについては、以下の3つが挙げられます。
- 電気代が高い
- 導入コストが高い
- スペースが必要
それぞれのデメリットについて解説していきます。
電気代が高い
ショックフリーザーのデメリットとして、電気代が高いことが挙げられます。
食品を短時間で急速に冷却・冷凍するために、通常の冷凍庫よりも大量の電力を消費します。
使用状況によって異なりますが、電気代が通常の冷凍庫の約10倍になってしまうケースも少なくありません。
導入コストが高い
ショックフリーザーは高価な機器なので、導入コストが高いデメリットが挙げられます。
小型で比較的手頃なタイプでは、価格は数十万円程度から購入することができますが、大型の高性能モデルでは、場合によっては400万円以上になる場合もあります。
そのため、費用対効果をしっかりと確認して、購入するかどうか検討することをおすすめします。
スペースが必要
ショックフリーザーを導入する際には、設置場所に十分なスペースを確保する必要があります。
実際に、小型モデルであっても卓上に設置できるほどのコンパクトさはありません。
例えば、規模の小さいパン屋や製造量が限られている場合、ショックフリーザーを導入することで得られるメリットは限定的になってしまいます。
一方で、運用コストを重視する場合には、省エネ機能が搭載されたモデルやよりコンパクトなショックフリーザーを選ぶといった方法も検討する価値があります。
ショックフリーザーの選び方

ショックフリーザーの選び方については、以下の5つが挙げられます。
- 価格
- 目的
- 冷却・冷凍時間
- サイズ
- 機能
それぞれの項目について解説していきます。
価格
ショックフリーザーは高価な設備になるので、価格で選ぶことも重要です。
手頃な価格のものでもおおよそ100万円程度から購入できますが、モデルによると700万円以上に達する場合もあります。
幅広い価格帯が存在するので、自分自身の予算や必要に応じて最適な機種を選ぶことが重要です。
目的
ショックフリーザーの選び方として、使用目的を明確にすることが重要です。
具体的には、冷却(チラー)を主な目的とするのか、冷凍(フリーズ)を重視するのかによって、適した仕様が大きく異なり、選定のポイントも変わるため、目的を明確にすることが重要です。
実際に、目的に合ったショックフリーザーを導入しないと十分に効果を活用できず、損をしてしまうリスクが高くなってしまうので、目的に合った機器を選ぶことが大切です。
また、食材の成分や形状、包装の有無などによって、冷却の仕方や必要な性能が大きく変わるので、冷却対象となる食材の種類も事前に確認しておきましょう。
冷却・冷凍時間
冷却や冷凍にかかる時間は、ショックフリーザーを選定する際の重要な基準の一つです。
具体的に、前後の工程の生産能力に合わせて、どの機器を導入するかを決定することが求められ、冷却・冷凍にかけられる時間を十分に考慮して、最適な機器を選定する必要があります。
また、冷却や冷凍の速度は生産効率に直接的な影響を与えるため、所要時間を踏まえた適切な仕様選定が重要です。
例えば、焼成後のステーキを冷凍する場合、一定の時間ごとに決まった数のステーキが焼き上がるので、そのペースに合わせてショックフリーザーを選ぶ必要があります。
このように、冷却・冷凍に関わる時間や目的、前後の工程などといった要素を明確にし、全体の生産フローに合わせた最適な設備選定を行うようにしましょう。
サイズ
ショックフリーザーを選ぶ際には、サイズも重要なポイントになります。
実際に、ショックフリーザーには、さまざまなサイズの製品が展開されているので、設置するスペースに合ったサイズを慎重に選ぶことが大切です。
サイトによっては、サイズを条件にした検索機能が利用できるので、自分にぴったりの製品を比較的簡単に見つけることができます。
機能
ショックフリーザーには、商品によって異なりますが、温度調整やタイマー設定など多彩な機能が搭載されています。
しかし、機能が多くなってしまうと「使いこなせていない」「操作が難しい」などと感じる場合もあります。
せっかくの機器を最大限活用できなければ、無駄にコストがかかってしまうリスクがあるのも事実です。
そのため、厨房での利用目的や必要性に応じて、本当に必要な機能を備えたモデルを選ぶことが大切です。
ショックフリーザーの注意点

ショックフリーザーを適切に選び、効果的に使いこなすには専門的な知識が不可欠です。
実際に、食材を機器に投入するだけで完了すると思われがちですが、不適切な使い方をすると、「冷凍品質の低下」や「作業効率の悪化」といった問題が発生することもあります。
正しい知識を持って運用することで、ショックフリーザーを最大限に活用することにもつながります。
目的に合ったショックフリーザーを選ぼう!

今回は、ショックフリーザーの仕組みについて紹介しました。
この選定が最適でないがゆえに失敗しているケースも非常に多いので、選定はきちんと機械のプロに相談しながら進めましょう。
ショックフリーザーの仕組みは、主に-30℃から-40℃の低温風を食品に直接当てることで短時間で温度を下げるエアブラスト方式を採用しています。
また、3℃程度の食品を短時間で-18℃以下まで冷却することができ、食品内で形成される氷の結晶が小さくなり、細胞が破壊されるのを防ぐことが可能です。
今回の記事を参考にして、目的に合ったショックフリーザーを選ぶようにしましょう。
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