保冷庫と冷蔵庫の違いは、用途や冷却方法、使用場所にあります。
保冷庫は温度を維持することを目的としており、一方で冷蔵庫は食材や物品を冷却し保存することを主な役割としています。
本記事では、保冷庫と冷蔵庫の違いを紹介します。
他にも「保冷庫の種類」や「保冷庫と冷蔵庫の選ぶポイント」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、保冷庫と冷蔵庫の違いについて理解を深めてみてください。
保冷庫と冷蔵庫の違いとは

それぞれの違いは、その用途や機能にあります。
保冷庫は温度を一定に保つことを目的としており、冷蔵庫は食品などを冷やして保存することを目的としています。
冷蔵庫の温度は通常2〜5℃に設定されていますが、保冷庫の場合は製品によって異なり、2〜20℃程度まで調整可能です。
具体的な保冷庫と冷蔵庫の違いについては、以下の3つが挙げられます。
- 用途
- 冷却方法
- 使用場所
それぞれの項目について解説していきます。
用途
保冷庫と冷蔵庫はどちらも物を冷やすための装置ですが、用途に大きな違いがあります。
具体的な用途の違いについては以下のとおりです。
特徴 | 用途例 | |
保冷庫 | ・温度範囲が比較的高め(5~20℃程度)・消費電力が低い場合が多い・精密な温度管理が可能なモデルもあり、特定の用途に特化 | ・ワインセラー・化粧品や医薬品の保管・生鮮食品や飲み物の一時保管・アウトドア用クーラー |
冷蔵庫 | ・冷却能力が高い(冷凍も含む)・多用途に使用可能(食品、飲み物、薬品など)・庫内湿度や冷却方式が食品保存に適した設計 | ・家庭用食品の保存・冷凍食品の保存・業務用・飲み物の冷却 |
保冷庫は、主に温度を一定範囲内で保つことを目的として使用されます。
温度を冷蔵庫ほど低くする必要がない場合や、内容物を凍らせる必要がない状況に適しています。
一方、冷蔵庫は、主に食品や飲料を低温で保存し、鮮度を長期間保つことを目的としており、冷凍庫がついている場合は、食品を凍らせて保存する用途にも対応可能です。
これらの特徴を理解することで、用途に応じて最適な選択が可能です。
冷却方法
保冷庫と冷蔵庫の違いとして、冷却方法の仕組みが挙げられます。
冷却方法については、主に以下の3つが挙げられます。
- コンプレッサー直冷式
- コンプレッサー間冷式
それぞれの冷却方法について解説していきます。
コンプレッサー直冷式
コンプレッサー直冷式は、一人暮らし向けの小型冷蔵庫に多く採用されています。
この方式では、冷蔵室や冷凍室の内壁に設置された冷却器が、直接空間を冷やす役割を果たします。
「直冷式」とも称され、庫内を効率よく冷やせる高い冷却性能が特長です。
容量が小さく、頻繁に扉を開け閉めする冷気が逃げやすい環境でも、素早く庫内温度を適切に保つことができるので、多くの小型冷蔵庫で広く採用されています。
コンプレッサー間冷式
多くの中型以上の家庭用冷蔵庫で採用されているのがコンプレッサー間冷式です。
冷却された空気をファンで循環させることで室内を間接的に冷やす特徴があります。
効率的で均一な冷却を実現するため、現在では家庭用冷蔵庫の標準的な冷却方式とされています。
特に、日本国内で販売される容量100リットル以上の冷蔵庫のほとんどが、このコンプレッサー間冷式を採用しています。
使用場所
保冷庫は、コンパクトなサイズで設計された1ドアまたは2ドアタイプが主流で、持ち運びの利便性を考慮して取っ手が付いているモデルも一般的です。
家庭内での移動はもちろんのこと、車内や屋外へも手軽に持ち運べる点が特徴となっています。
また、多くのモデルはAC電源コードとDC電源の両方に対応しており、これにより室内だけでなく、アウトドアなど屋外でも使用できる柔軟性を持っています。
このように、通常の冷蔵庫にはない大きな特徴と言えます。
保冷庫とは

保冷庫は、食品や医薬品などを適切な温度で保存するための冷却機器を指します。
設定した温度を一定に保つよう設計されており、特に食品の鮮度や品質を維持する上で欠かせません。
一般的には冷蔵庫としても知られる保冷庫は、食品を0℃から10℃程度の範囲で保存することが可能で、腐敗や劣化を遅らせ、長期間にわたって品質を保つことができます。
また、保冷庫の用途は多岐にわたり、家庭用から業務用、産業用まで幅広く普及しています。
飲食店や食品製造業はもちろんのこと、医療機関でも医薬品や検体の品質を守るために活用されており、さまざまな分野で品質管理を支える重要な役割を果たしています。
冷蔵庫とは

冷蔵庫とは、食品や飲料を冷却したり、腐敗を防ぐために低温で保存する機能を持つ箱型の機器を指します。
内部を低温に維持するために外部からの熱を遮断する設計が施されています。
従来では、氷やガスを利用する方法もありましたが、現在では主に電力を使用する冷蔵庫が一般的です。
保冷庫の種類

保冷庫の種類については、以下の3つが挙げられます。
- 店舗用
- 農業用
- 医療用
それぞれの種類について解説していきます。
店舗用
店舗で使用される保冷庫は、冷蔵の機能で活用されることが一般的です。
用途としては、要冷蔵の商品を取り扱う販売店でショーケースとして使用されるものと、飲食店の厨房で食品を保存するために利用されるものと大きく二つの目的に分類されます。
食材への負担を軽減しながら、解凍や粗熱を取る工程をサポートするだけでなく、解凍後の適切な温度を維持できる機能を備えています。
農業用
農作物の保管に使われる保冷庫は、特に玄米や野菜の保存に適しています。
低温貯蔵庫とも呼ばれており、収穫後の作物を適切な温度で管理することで、その鮮度を長く維持する役割を果たします。
しかし、玄米と野菜ではそれぞれ理想的な温度や湿度条件が異なるので、保存する作物ごとに設定を調整することが重要です。
また、保冷庫の選定には、サイズや基本的な機能だけでなく、温度や湿度を自由に切り替える機能や庫内を左右で異なる環境に設定できるオプションが影響を与えます。
これらの仕様によってコストが大きく変わるため、必要な条件を慎重に見極めて選ぶことが必要です。
医療用
保冷庫は、食品業界だけでなく、医療機関や製薬企業、研究施設などでも広く活用されています。
例えば、ワクチンや薬品の保存において厳密な温度管理が不可欠になるので、医療用保冷庫は高精度な温度制御機能を備えています。
また、一般家庭の冷蔵庫で発生しがちな低温による凍結のリスクを回避し、薬品を安全に保管できる設計が特徴です。
さらに、持ち出し防止を目的としたアラームランプや警報ブザーといったセキュリティ機能も搭載されており、医療用途に特化した仕様が採用されています。
保冷庫の使用例

保冷庫の使用例については、以下の3つが挙げられます。
- サブ冷蔵庫
- アウトドア
- 車内
それぞれの使用例について解説していきます。
サブ冷蔵庫
保冷庫の使用例として、小部屋で飲み物や軽食を保管するための補助的な用途のサブ冷蔵庫として使用するケースが挙げられます。
例えば、寝室に冷温庫を設置すれば、夜間にのどが渇いて目が覚めた際でも、キッチンに行く手間を省いてすぐに飲み物を取り出すことができます。
また、保冷庫の多くは温度設定を細かく調整できるので、自分の好みに合わせた温度で飲み物を保管することが可能です。
さらに、冷温庫は飲み物だけでなく、軽食の保存にも便利です。
特に最近では、テレワークや在宅勤務の普及により書斎や作業部屋を設けている人も増えており、そういった部屋に冷温庫を置いておくと、仕事中に軽く食事を取る際に役立ちます。
静音性の高い製品が多いため、寝室や仕事部屋に置いても騒音で睡眠や作業が妨げられる心配が少ないのも大きなメリットです。
アウトドア
冷温庫は小型で持ち運びが簡単なうえ、AC電源とDC電源の両方に対応しているモデルが多いことから、キャンプや釣り、バーベキュー、ピクニックなどのアウトドアで使用されるケースも多いです。
クーラーボックスは時間が経つにつれて氷や保冷剤が溶けてしまい、中の温度が上がるという問題がありますが、冷温庫は電源を使用するため、飲み物や食品を常に冷たい状態で保管することが可能です。
さらに、冷温庫の特徴として、季節に合わせて保冷と保温の切り替えができる点も挙げられます。
例えば、ピクニックでお弁当を持参する際、常温で置いておくと食品の鮮度が心配になる場合がありますが、冷温庫ならば食べる直前まで適切な温度で保存できるので安心です。
また、寒い季節にアウトドアで温かい料理を楽しむ際にも、冷めるのを防ぐことができるため、快適な食事を維持できます。
このように、保冷庫は外気温に関わらず、飲食物を適切な温度で管理できるというメリットが挙げられます。
車内
保冷庫は、車内で利用されるケースも多いです。
実際に、車内で使用できるポータブル冷温庫も多く販売されており、ドライブや旅行中に非常に便利なアイテムです。
長時間の移動中には、飲み物を購入する機会を見つけるのが難しいこともありますが、この冷温庫を車内に設置しておけば、いつでも適温の飲み物を楽しむことができます。
また、水分補給だけでなく、食事のタイミングが取りにくいシーンでも役立ちます。
例えば、保温機能を活用することで、出発前に用意したお弁当や軽食を温かいままキープでき、時間があるときに温かい食事を取ることが可能です。
保冷庫と冷蔵庫の選ぶポイント

保冷庫と冷蔵庫の選ぶポイントについては、以下の3つが挙げられます。
- 容量
- 金額
- デザイン
それぞれのポイントについて解説していきます。
容量
保冷庫や冷蔵庫を選ぶ際には、必要な容量も重要なポイントになります。
例えば、寝室でペットボトルを数本保冷するために使うのか、アウトドアで大人数分の飲み物を冷やしたいのか、あるいはフルーツなどの食品を保管したいのかによって、選ぶべきサイズが変わります。
保冷庫であれば、持ち運び可能なサイズのものがほとんどで、容量は小型の5リットル未満から、大容量の20リットル以上まで幅広く展開されています。
容量が大きいほど多くのものを収納できますが、使用する場所のスペースや車内に設置する場合などは、本体のサイズにも配慮が必要です。
適切な容量とサイズを考慮して選ぶことで、使用目的に合った保冷庫や冷蔵庫を見つけることができます。
金額
冷温庫や冷蔵庫を選ぶ際には、金額も重要な要素と言えます。
従来では、保冷庫や冷蔵庫は高額でしたが、最近では手ごろな価格の商品が多く見られるようになっています。
容量や搭載されている機能によって価格は異なりますが、1万円から2万円台の保冷庫もあり、幅広い選択肢があります。
また、1万円未満の低価格商品も市場に出回っていますが、あまりに安価なものは品質面でリスクがあるので注意が必要です。
そのため、使用目的や必要な機能をよく考え、価格とのバランスを見極めて購入することをおすすめします。
デザイン
保冷庫や冷蔵庫を選ぶポイントとして、デザインも挙げられます。
冷蔵庫は、多くのメーカーから販売されており、カラーやサイズなどさまざまなものがあります。
保冷庫については、冷蔵庫と比べてデザインのバリエーションが豊富で、使用する場所や目的に応じて好みに合ったものを選ぶことができます。
例えば、オフィスに設置する場合はインテリアに調和するような洗練されたデザイン、自宅の寝室に置く場合は自分の趣味に合わせたカラーを選べるなど、多彩な選択肢が用意されています。
さらに、持ち手の有無も冷温庫を選ぶ際の重要なポイントのひとつです。
自宅やオフィスの一定の場所に据え置く予定であれば持ち手がなくても問題ありませんが、車内での使用やアウトドアに持ち運ぶ予定がある場合には、持ち手付きのモデルを選ぶと使い勝手が良くなります。
用途に合わせて保冷庫か冷蔵庫を選ぼう!

今回は、保冷庫と冷蔵庫の違いを紹介しました。
保冷庫と冷蔵庫の違いは、用途や冷却方法、使用場所にあります。
保冷庫は主に温度を一定に保つことを目的としており、冷蔵庫は食品などを冷やして保存することを目的としています。
また、保冷庫と冷蔵庫の選ぶポイントを把握しておくことで、自分の要望に合った保冷庫や冷蔵庫を選ぶことにもつながります。
今回の記事を参考にして、用途に合わせて保冷庫か冷蔵庫を選ぶようにしましょう。
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